ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
新しい朝、新しい関係
ベッドの上の目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。
「う……ん……」
何度も寝返りを打ちながら、葵は朝が来たことを知った。
繰り返されるスヌーズ機能を停めて、重たい上半身を持ち上げる。
こめかみの奥がズキズキと痛い。
二日酔いというわけではなく、純粋に疲れているのだろう。
「はふ……」
ベッドから抜け出して、鏡を見ると、昨日着た服のままだ。
今日は仕事が休みだが、とりあえずシャワーを浴びたい。
ガチャリとドアノブを回して、廊下に出た瞬間。
「っ……っ、きゃあああああ!!」
葵は叫び声をあげていた。
「ん……」
それもそうだろう。
ドアを開けた目の前の廊下に、なんと、蒼佑が座っていたのだ。
壁にもたれるようにして、腕組をし目を閉じていた彼は、葵の絶叫に目を覚ましたのか、少しぼんやりした表情で葵を見上げ、それから数秒後、にっこりと微笑んだ。
「おはよう」