ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「シャワー浴びてください」
「――ん?」
「洗えるものは、洗濯機の中に入れておいて。着替えはナツメの物を置いておきますから、それに着替えて。とにかくシャワーを浴びてください。このままではちょっと……アレだから」
「アレ?」
蒼佑が不思議そうに目を細める。
「アレって言ったら、アレですっ……!」
葵は顔を赤くしながら蒼佑に詰め寄ると、腕をつかみグイグイとバスルームへと引っ張っていく。
「いいから、私の言う事聞いて!」
若干、小学生のような切れ方だが、
「――わかった」
葵の一方的な剣幕に、蒼佑は押されながらも、素直にうなずいたのだった。
(このままじゃ、私、ただの恩知らずな失礼な人になってしまうから……今ここで、あの人に親切にする意味は、それだけ。それだけよ)
昨晩の自分は、どう考えても蒼佑に迷惑をかけ通しだった。
あのエレベーターの中でひとりだったら、パニックになってとても耐えられなかっただろう。
想像すると、ゾッとする。