ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
だが、シャワーを浴びて、テーブルの上の料理を見た蒼佑は、最初ポカンとしていたが、食事がふたり分用意されていることに気が付くと、キラキラと目を輝かせ、ひどく感動した様子で葵に詰め寄った。
「葵、ありがとう!」
そしてそのまま、大きく腕を広げて、その胸の中に葵を抱き寄せてしまった。
「きゃっ!」
「本当に、夢みたいだ……いや、夢かな。俺に都合がよすぎる」
蒼佑は何度も、これは夢かもしれないと言いながら、葵を抱き締める腕に力を込めていく。
まるでサンタクロースからプレゼントをもらった子供のような喜びように、葵の息は詰まりそうになってしまった。
「――苦しいっ……」
「あ、ごめん」
蒼佑はそう言いながら腕の力を緩めるが、抱きしめた腕は離さなかった。
ウットリした様子でそのまま葵の首筋に顔をうずめる。
「これは昨日のお礼なんだろう。君は真面目だから、こういうことをするだけで……」
「そうよ……勘違いしないで」
葵はそう言いながら、蒼佑の胸をぐーっと手のひらで押し返して距離を取る。