ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「日本にいたころは、何を見ても、君を思いだして辛かった。逃げるようにアメリカに行っても、長い黒髪の女性を見て、君が会いに来てくれたんじゃないかと追いかけたことだって、一度や二度じゃない。昔は毎日、君を抱きたいと心の中で思っていたのに、性欲もさっぱり消え去った。どんな女に誘惑されても、気持ち悪さが走って、鳥肌が立つ。たぶん、君と別れてから、人として、俺の中のなにかが欠けてしまったんだ。そんな俺が壊れていると言うなら、そうかもしれない。でも――」
でも、とつぶやいて、蒼佑の腕の力が緩む。
「八年経って、君は変わったと言った。でも俺にとっては、君は君だ……ずっと夢に見ていた、君なんだ……忘れたら楽になれると言われても、忘れたくない。そんなことになるなら、死んだほうがマシだ」
蒼佑の吐息が、首筋に触れる。
「頼む。俺から見えないところに行かないでくれ……。俺の思いを否定しないでくれ。過去の俺を憎んでいいから、今の俺を愛してくれ」
蒼佑の告白は、一方的で、支離滅裂だった。
再会してからずっと、無茶苦茶だった。