ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
蒼佑の手は大きく、熱い。
葵の両手を包み込み、指先で愛おしそうに何度も撫でている。
今までの葵なら、「触らないで」と叫んで、振り払っていただろう。
だが、今日の葵は昨日の葵とは違う。
静かに蒼佑の手のぬくもりを感じながら、謝罪の言葉を聞いていた。
「昨晩、津田さんにはっきり言われなければ、俺は君を追い詰める一方だったと思う。そうなる前に、話ができてよかった。彼には感謝してる」
「伝えておく……」
葵もこくりとうなずいた。
きっと渉は、表面上面白がっている顔をして、喜んでくれるだろう。そんな気がしたのだ。
「それと……だな」
「なに?」
歯切れの悪さが気になったので首をかしげると、蒼佑は少しためらいながら、口を開く。
「今さらだが、連絡先を聞いてもいいだろうか」
「あ」
葵はハッとして息を飲んだ。
「君が嫌じゃなければ、教えて欲しい。ちなみに教えてもらえない場合は、また君の仕事の帰りを待ち伏せしないといけなくなるんだが」