ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 テレビをつけっぱなしにしたリビングで、ナツメの制服のシャツにせっせとアイロンをかけていると、風呂から上がってきたナツメがグラスに注いだジュースを片手に、リビングに姿を現した。

 そして何気ない様子で、いきなり爆弾を放り込んできた。

「ねえ、葵ちゃん、いつも家にいるけど。天野さんとデートとかしないの?」
「――はっ!?」

 葵は、なにを言っているんだといわんばかりに、アイロンの手をとめて、ナツメを見あげる。

「はっ?じゃないよ。葵ちゃん。なんで毎日毎日、家にいるの? たまにはデートくらいしなよ」
「いや……いやいや……そういうのはちょっと」

 デートというのは、恋人同士、もしくはお互いに意識し合っているふたりがするものだろう。

 意識していないと言えばウソになるが、葵は今のところ、蒼佑とこれ以上深い仲になるつもりはない。この数週間で、完全にキャパシティーオーバーだ。なにかを考えるにしても、時間が必要だった。

「ちょっとって、なに? もしかして俺に気を使ってる? いいんだよ、外泊したって。俺もう子供じゃないし。葵ちゃんだって大人なんだから」

< 136 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop