ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
テレビをつけっぱなしにしたリビングで、ナツメの制服のシャツにせっせとアイロンをかけていると、風呂から上がってきたナツメがグラスに注いだジュースを片手に、リビングに姿を現した。
そして何気ない様子で、いきなり爆弾を放り込んできた。
「ねえ、葵ちゃん、いつも家にいるけど。天野さんとデートとかしないの?」
「――はっ!?」
葵は、なにを言っているんだといわんばかりに、アイロンの手をとめて、ナツメを見あげる。
「はっ?じゃないよ。葵ちゃん。なんで毎日毎日、家にいるの? たまにはデートくらいしなよ」
「いや……いやいや……そういうのはちょっと」
デートというのは、恋人同士、もしくはお互いに意識し合っているふたりがするものだろう。
意識していないと言えばウソになるが、葵は今のところ、蒼佑とこれ以上深い仲になるつもりはない。この数週間で、完全にキャパシティーオーバーだ。なにかを考えるにしても、時間が必要だった。
「ちょっとって、なに? もしかして俺に気を使ってる? いいんだよ、外泊したって。俺もう子供じゃないし。葵ちゃんだって大人なんだから」