ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「がっ、外泊って……!」
まさかのお泊りの提案に、葵の顔は真っ赤になった。
「あのね、そういうんじゃないから!」
「でも、こないだは、明らかに俺がドアを開けるまで、そういう雰囲気だったよね」
ナツメが不思議そうに首をかしげる。
「うっ……」
痛いところを突かれてしまった。
このままではアイロンでシャツを焦がしてしまうかもしれない。
葵はアイロンを切って、膝に手を乗せた。
「んで、あの時は葵ちゃんも、嫌がってなかったと思うけど。なに、もしかして葵ちゃんは、天野さんのことを、もてあそんでるの?」
いったいどこの誰が、あの魔性の男をもてあそぶことができるというのだ。
それを聞いて、葵はあんぐりと口を開けて、首を振った。
「そんなわけないじゃない!」
「だって……天野さんは葵ちゃんの事本気なのに。どうして本気の気持ちに、本気で返さないの?」
ナツメは少し不服そうに、唇を尖らせ、グラスのジュースを飲んで、ソファーに腰を下ろした。