ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「――あ、あとで……?」

 そして、どんどん歯切れが悪くなる葵に、業を煮やしたナツメが、ふうっと息を吐いた。

「わかった。じゃあ俺が聞いてあげる」
「ええっ!?」

 まさかの展開に、葵は息を飲む。

「いいからいいから」

 そしてナツメはくるりと踵を返し、さっさと自分の部屋へと戻って行ってしまった。

「ちょっ……」

 残された葵は、一瞬リビングに取り残されてしまったが、これはまずい。

「ちょっと待って、なっちゃん!」

 慌ててナツメの部屋に向かい、彼の部屋に乱入する。

「大丈夫だって、葵ちゃん。俺、天野さんの連絡先知ってるから」
「そうじゃなくて!」

 ベッドに座ってスマホを片手で操作するナツメから、スマホを取り上げようとしたのだが。

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