ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
そんな葵を見て、ナツメがふふっと笑って、顔を覗き込む。
「残念だったね。まぁ、実際は天野さん、葵ちゃんどうこうじゃなくて、仕事が忙しいのかもしれないね」
本当に、たまたまスケジュールが合わなかったから、無理強いはしないことにしていると言ったのだろうか。
だが逆に、言葉通りだったら、蒼佑は今後どうやって自分と会うつもりなのだろうか。
待ち伏せはしないと約束したが、別に今後どうする予定だと言われたわけではないので、そのことが気になった。
(今までずーーっと滅茶苦茶強引だったのに……突然方向転換?)
葵はどうにも気になって仕方ない。
(ん……? だけどなんで私、そんなことが気になってるんだろう……)
胸の奥がモヤモヤする。
だがそれは自分に対してであって、そうなると発散のしようがない。ただ憂鬱になるばかりだ。
そんな姉を見て、ナツメはニヤリと面白そうに笑う。
「もしかして振られた気分になってる?」
その言葉に、葵は頭を金づちで殴られたようなショックを受けた。