ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
葵はまっさらの新雪のような少女だった。
蒼佑を見て、隠すことなく驚いたように目を丸くして、それから顔を赤く染めて、うつむいた。
そんな葵を見て、蒼佑はかわいいなと思ったが、この子がどうして自分の思い通りにならないだろうと、思ったのも事実だ。
なにしろ蒼佑ときたら、生まれてこの方、女性に苦労したこともなく、嘘偽り、誇張なく、愛されるだけの人生を送ってきたのだから。葵にも当然、好かれるものだと思っていた。
だが現実は違った。
家庭教師を始めて一年間、葵は勉強の場所として、リビングを選んだ。彼女の部屋に招いてもらうどころか、一度もふたりきりにさせてもらえなかった。
こちらから話しかければ、なんでも答えてくれるが、基本的には真面目に勉強をする気でいるらしく、蒼佑のプライベートにはいっさい踏み込んでこなかった。
(もしかしてこの子は俺に興味がないのだろうか?)
そんなことを考える自分に驚いたし、これでは要蔵の思うつぼではないかと、少し悔しくなった。