ひざまずいて、愛を乞え～御曹司の一途な愛執～

　好きだといって、拒まれたら立ち直れない。
　だが自分に自信が出てくるまで待っていたら、彼女はほかの男に取られてしまうだろう。

　それでなくても、日に日に葵は、美しくなってゆくのだから。

「葵ちゃんを俺に下さい」

　結局、要蔵に頼るしかなかった。
　彼にはこうなることがわかっていたのだろうか。

「おぜん立てはしてやる」

　要蔵はそう言って、天野家に蒼佑と葵の婚約話を打診してくれたのだ。

　あくまでも、家同士のつながりとして――。
　蒼佑は、自分の本心をあまり知られたくないと思っていたので、それは願ったりかなったりだった。

　自分の中に渦巻く、どろどろとした熱いマグマのような思いを、葵に知られたくなかった。

　かつて自分がほかの女性に感じていたような、冷淡な気持ちを葵に抱かれたら――。

　そう考えたら、死にたくなってくる。

　葵に嫌われたくない。自分の思いを知られたくない。彼女には、天野蒼佑という男の、家同士で結びついた、優等生のおぼっちゃまというイメージを壊してほしくない。