ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「なっちゃん、警察には?」
「そんな大事じゃないよ。よくあることだし」
だがケロリとした顔で、ナツメは肩を竦める。
「よっ……、よくある!?」
葵は目を丸くして、絶句した。
「うん。SNSとかでたまに言われるようなことが、ちょっと熱量多めで、なおかつ過激に書いてあるだけ。だからうっちーには心配しないでいいって言ってるんだけどね」
恐ろしいことを、少し茶化すように言うナツメを、葵は信じられない気分で見上げた。
「そんな……なっちゃん、仕事してる場合じゃないんじゃないの?」
「でもね、具体的に何か書いてあるわけじゃないんだ。ただ俺への恨みつらみが書かれているだけでさ」
「でも……」
なかなか納得できない葵だが、ナツメは、ふうっと息を吐いて、葵の顔を見下ろす。
「俺、こんなことで仕事自粛するなんて、絶対に嫌だ。これは俺が選んだ自分の道なんだから、他人の悪意になんか負けたくない。邪魔されたくない」