ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
自分の部屋にいても、きっと窓を開けるのも怖くて、ビクビクしていたような気がする。
「いろいろありがとう」
蒼佑の気づかいに素直に感謝した葵がそう口にすると、縁側に立っていた蒼佑が、ハッとして振り返った。
「今の、俺に?」
「――」
「俺に言ってくれたよね」
「いや……言いましたけど……」
葵はなんだか無性に恥ずかしくなってしまった。
「ねぇ、私、そんなにあなたに、ちゃんとお礼も言わなさそうって思われてるの?」
起きていられたらいいのだが、やはりまだ今日は、横になっていたほうが楽だ。
少し不貞腐れながら、革張りのソファーの上で、葵はクッションを抱えて横になる。
「まさか。君がそんな人だと思ってるわけじゃない」
蒼佑はふっと笑って、首を振った。
「ただ、君の力になれたことが嬉しくて」
「――」
葵はじっと、蒼佑を見あげる。