ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
蒼佑もまた、葵をじっと見つめる。
だから葵は、ほんの少しばかり勇気を振り絞って、口を開いた。
「本当に、感謝してる……」
その瞬間、蒼佑の表情に光が差したような気がした。
今まで散々冷たくしておいてなんだが、こんな些細なことで、彼は嬉しくなるのだと思ったら、葵はなんだか胸が痛くなってしまった。
「――あなたがいなかったら、私は警察とのやり取りで疲れ切ってただろうし、そうしたらナツメはもっと動揺していたと思う。だから、私とナツメを助けてくれたのは、あなたよ。だから、ありがとう」
すると、蒼佑は少し困ったように笑って、そのまま葵が横たわるソファーの前に座り、葵の頬に手のひらを乗せた。
「葵……俺こそありがとう」
「――なぜあなたがお礼を言うの?」
「そうやって、優しい気持ちで俺を見ようと努力してくれるから」
そして蒼佑は美しい眉を少し寄せて、うつむいた。
「俺は君が欲しくてほしくてたまらなくて、ただそれだけのために必死になっているだけで……俺が君のためにやることは、まるっきりただの善意だと言えたらいいんだけど、打算しかない」