ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
それを聞いて、葵は不思議な気持ちになる。
「正直なのね」
ここで『無償の愛』だと言われれば、葵もそうなのかとほだされるかもしれないのに、正直に、自分のためだと、打算だと言われるとは思わなかった。
葵の言葉に蒼佑は苦笑して、首を振る。
「もう、自分の気持ちから、逃げるのはやめた」
「――」
そして頬に置いていた手で葵の髪をすき、そのまま覆いかぶさるように葵のこめかみに口づけを落とす。
「君の側にいたい。ずっと……」
それはどこか祈りにも似た言葉で。
真摯で、まっすぐで、情熱的で。
自分に向けられていると思っていても、葵は彼の手を振り払うこともできず、ただ黙って、蒼佑のやりたいようにやらせていたのだった。