ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「……はぁ」
葵はずるずるとその場に座り込んで、膝を抱える。さっきまで気を張っていたせいか、一気に力が抜けてしまったようだ。
(素直でいい子、か……)
確かに自分が、そうではない自覚はあるが、正面切って言われると、さすがに凹んでしまう。そしてなりより、りか子の最後の捨て台詞は葵の精神をひどく落ち込ませる威力があった。
「お見合い……」
口に出すと、ぐさりと胸に刺さる。
だが考えてみれば、蒼佑はHFの御曹司で、ひとり息子だ。結婚相手を自由に選べる立場にはない。だからこそ、かつて大物政治家の孫娘だった自分は、蒼佑の妻として彼の両親に認めてもらえたということもある。
(お見合いかぁ……)
優しい蒼佑なら、誰が相手でも、きっといい夫で、父親になるだろう。
(そうよね、私じゃなくたって……別に……)
あれだけ思いをぶつけられているのに、そんなことを思ってしまう自分に嫌気がさす。
だが、現実問題、どうやったって、自分は彼の妻にはなれないのだ。