ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
胸の奥が、ぐうっとつかまれたように痛くなった。
(やっぱり、私の思いに、先なんてなかったんだな……)
今さら現実を思い知らされて、泣きたくなる。
じわっと涙が浮かんだが、泣くのは負けを認めたようで嫌だった。
膝に顔を押し付けたまましばらくじっとして、なんとか気持ちを落ち着けた後、ゆっくりと立ち上がる。
蒼佑が今日、ここに帰ってくるのかは謎だが――。
せめて心配させるような振る舞いだけは、したくなかった。
それからしばらくして、四時過ぎごろ。また玄関のチャイムが鳴った。
今度は間違いなくナツメで、ニコニコした様子で姿を現すと、キッチンテーブルの上に置いてある材料を見て、「チーズ入りハンバーグだ!」と目を輝かせた。
「やったー、俺の一番の好物!」
「手を洗ってきて。手伝ってくれるでしょ」
「もちろんだよ」
ナツメは腕まくりして玉ねぎを手に取る。ふたりで刻むが、炒めるのはナツメの役目だ。目に染みる、と騒ぎながら、ドタバタ料理をしていると、なんと蒼佑も帰ってきた。まだ時間は午後の六時だ。