ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 マスターおすすめのコーヒーと、フレンチトーストを食べて、店をあとにする。
 ちなみにカフェのテラス席でも、蒼佑はやたら目立っていたし、その場にいる女の子の視線を独り占めしていたことを、葵は見逃さなかった。

(ストレッチパンツにスニーカー、カットソーにジャケット。本当にシンプルな装いなのに、なぜか視界に飛び込んでくる。そのまま目で、追いかけてしまう。この人は本当に、他人の目を惹くんだ)

 例えば顔がいいとか、背が高いとか、スタイルがいいとか、そういうことで視線を集めるのではない。きっと本人が生まれた時から持っている、オーラのようなものなのだ。
 だがそうなると、なぜそんな人が、自分を好きになってくれたのだろう?と、冗談抜きで不思議で仕方なくなってくる。

(私なんか、中味がすごく普通だし……)

 ちなみに今日は、蒼佑が屋敷に用意してくれていた上品な形の水色のワンピースを着ているが、完全に値段に負けていると思う。

「さ、ついたよ」

< 235 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop