ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「俺の予定では、もう少し優しく……葵を抱けたはずなのに……」
どうやらそんな予定が、蒼佑の中で出来ていたらしい。
かなり強引に、獣のように葵を抱いたはずの蒼佑の発言にびっくりしたが、葵としては、蒼佑が我を忘れるくらい自分に夢中になってくれたのだと思うと、純粋に嬉しかった。
毎回嚙まれるのは勘弁だが、長い間葵を思ってくれていたゆえの行動だと思うと、今晩の蒼佑を責めるつもりはない。
(この人を、かわいいなんて思う日が来るなんて、思わなかったな……)
葵は落ち込む蒼佑の胸に額を押し付けて、
「じゃあ次は優しくしてね」
と、ささやいた。
今日はもうヘトヘトだが、ふたりの時間はこれっきりではないはずだ。
そんな気持ちを込めて、葵は蒼佑の顔を見上げる。
すると蒼佑は、葵の言葉を受け、パッと表情を輝かせて、うなずいた。
「勿論だ。同じ失敗は繰り返さない」
そしてゆっくりと、葵の額にキスをした。