ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「そうです。二度と会いたくないし、人生で関わりたくない相手なんです。だから、ナツメにも近づかないでほしいんです」
【ですが、もうすでに自分からグイグイ行って、連絡先まで交換してしまっていますよ】
「えっ……!?」

 ナツメは人嫌いかと思えば、妙に人懐っこい変わったところがあって、自分が好きだと思う相手には、ドンドン距離を詰めていくのだ。

(どうしよう……)

 いったいどうしたらいいのか、悩んでいると、

【あの、葵さん――あっ……ちょっとっ?】
「大内さん?」

 電話の向こうで、大内が慌てる声がした。

【俺だ】
「っ……!」

 耳から聞こえてきたのは、甘やかな低音の、蒼佑の声で――。

【すまない。大内さんの電話の相手が君じゃないかと思って、後をつけた】
「……」
【君が言いたいことはわかる】
「なに?」

 気持ちがわかると言われて、反射的にムッとしたが、

【ナツメ君には、俺たちのことは話さない。それだけを言いたかったんだ】

 残念ながら外れてはいなかった。

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