ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「ビックリした……でも、会えてよかった……」
蒼佑は何度もそう繰り返し、それから葵の肩をつかんで、じっと顔を見つめる。
「葵……不安にさせてごめん」
「あ……ううん」
その一言で、蒼佑の気持ちは伝わってきた。
そしてもう、不安になることもないのだと――。
葵は首を振って、それから蒼佑を見あげ、そして笑った。
「大丈夫。ちょっぴり不安だったけど……もう大丈夫」
葵のその言葉を聞いて、蒼佑はホッとしたように、目を細めた後、周囲をキョロキョロと見回した。
どうしたのだろうと首をかしげる葵をよそに、蒼佑はすぐそばにあった大きな花瓶から薔薇を一本抜きとると、いきなりその場にひざまずいて、捧げるように、薔薇を差し出した。
「え……?」
突然のことに、葵は息が止まりそうになる。
「何があっても、あなたを守ります。君がおばあちゃんになっても、愛し続けます。だから、俺がおじいちゃんになっても、愛していてほしい。結婚してください」
その瞬間、ガツンと胸の真ん中を、射抜かれた気がした。