ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
同時に、ぶわっと、葵の目から涙が溢れる。
嬉しいとかびっくりしたとか、今ここでそんなことを言ってしまうのかというような、そんな思いを、蒼佑は軽々と飛び超えてしまった。
そして年をとっても一緒にいられるのだと、死が二人を分かつまで、愛し合えるのかもしれないと、その喜びに、眩暈がして、葵は涙が止まらなくなった。
「――俺、ようやく君にひざまずけたな」
蒼佑は少しいたずらっ子のように笑って、泣きじゃくる葵を見て、目を細める。
そういえば、再会してから間もないころ、葵は傲慢な女を装って、蒼佑に言ったのだ。
『私を愛しているなら、そこにひざまずいて』と――。
そして彼は、今、ひざまずいた。
葵に愛を示すために――。
「ところで、返事は?」
「っ、はっ……はいっ……よろしく、おねがい、しますっ……」
葵はぽろぽろと涙をこぼしながら、うなずく。
その次の瞬間、蒼佑はパッと笑顔になり、立ち上がると、泣きじゃくる葵をそのままきつく抱き寄せた。