ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
蒼佑の両親との距離は、日に日に縮まっている。なにより蒼佑が努力を怠らないのだ。ほとんど寄り付かなかった自宅にたまに戻っては、両親と話をしてくれている。その甲斐あってか、今年は天野の本家に新年の挨拶に行くことが出来たし、りか子もだいぶ態度を軟化させていた。
そしてこの土日の二日間、おそらく百人ほどが訪れたのではないだろうか。
蒼佑の親友だという、南条瑞樹や、神尾閑もやってきたのだが、葵は挨拶をしただけでその場を離れた。
(なんとなく、俺の彼女が世界一選手権がどうのって聞こえたけど……まさかね)
まさかあの三人に限ってそんな馬鹿らしいことを口にするだろうかと思いながらも、蒼佑なら、真面目に葵をプレゼンしそうな気もする。
(だめ、はずかしい……耐えられそうにない……)
だが普段あまり人に気を許して笑った顔などを見せない蒼佑が、男同士でなにやら楽しそうにしているのを見るのは、葵にとって、純粋に嬉しいことだった。