ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「葵、片づけは明日プロに頼むからいいよ。今日はもう遅い」
広い庭の中央に置いてあるテーブルに行き、お盆にグラスをのせていると、その手を蒼佑がつかんで引き寄せる。
庭は美しくライトアップされていて美しいが、確かに最後の客を見送ったところで、時間は夜の十時を過ぎていた。
「でも、プロに頼むにしたって、せめてちょっとまとめておくくらい……」
なんとなく乱雑になっているテーブルの上が、気になって仕方ないのだ。
すると、蒼佑がくるりと正面に回り込んで、こつんとおでこを重ねてきた。
「――葵……君は俺をどうしたいんだ」
「えっ?」
どうしたいもこうしたいも、別に蒼佑になにかをしてくれと頼んだ覚えはない。
葵が首をかしげると、蒼佑はまた深いため息をつく。
「だから、久しぶりに、ようやくふたりきりになれたって言ってるだろう。なのに葵は、俺を放って忙しそうに働いているし」
「うん……そうね。でももとはと言えば、あなたがやるって言い出したことでしょ?」