ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「はぁ……正論だ。でも今の俺が欲しいのは、そんな言葉じゃない」

 蒼佑は重苦しくため息を吐くと、そのまま葵の頬を両手で包み込み、口づけた。

「んっ……」

 急な口づけに驚いた葵が、体をこわばらせると、蒼佑は葵の背中と腰に腕を回し引き寄せる。

「俺が、君を愛する十分の一でも、君が俺を愛してくれたらいいのにって思うよ」
「そ、そんな……」

 葵にとって、蒼佑はたったひとり、最初で最後の男だ。彼以外に好きになった男など誰一人いない。なのに蒼佑はまだ足りないと言う。もっともっとと、飢えた獣のように、葵の愛を乞い続ける。

 だが目に見えないものをどうやって証明したらいいのだろう。
 蒼佑の望みはかなえてあげたいと思うが、方法がわからない。

「蒼佑さん……」

 困った顔になる葵を見て、蒼佑の何かに火が付いたようだ。

「君に思い知らせたい……痛いくらいに」

 蒼佑は一瞬、どこか熱が引いたように冷えた表情になった後、一転して、葵の耳元に熱っぽく囁いたのだった。

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