ひざまずいて、愛を乞え～御曹司の一途な愛執～

　いずれ、ナツメ含め、葵の両親のもとにも挨拶に行かなければならない。
　葵は、蒼佑が、両親や弟に過去のことで理不尽なことを言われるのではないか、過度に責められるのではないかと気にしているようだが、それは蒼佑にとって、まったく問題ではない。

　蒼佑にとって、葵の心がすべてだからだ。
　葵さえ認めてくれたらそれでいい。本当は、自分の両親だって仕事だって、捨てても構わない。

　だがそんな思いは見なかったことにして、蒼佑があちこちで根回しをするのは、葵に悲しい思いをさせたくないから、それだけだった。

（こうやって側にいることを許してもらえただけで、万々歳なはずなのにな……）

　昼間、さりげなく瑞樹と閑にも気を付けるように言われたのだが、蒼佑は葵に執着しすぎらしい。

『愛するのはいいが、追い詰めるなよ』というのは瑞樹の言葉で、
『彼女から、自ら考えることを奪わないように気を付けて。彼女には彼女の自由がある』というのは、閑の言葉だった。

　どちらも 彼ららしい忠告の言葉で、心当たりがあり過ぎる蒼佑は反省するしかない。まじめに考えれば考えるほど、俺の彼女は世界一選手権どころではない。