ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「なるほど……それで私に連れて帰ってほしいってことね?」
『そう。さすが葵ちゃんだね、話が早いよ』
電話の向こうのナツメはケラケラと笑って、
『住所送るから、よろしく。あと一時間くらいで終わると思うから、早めにお願い』
と告げ、電話を慌ただしく、切ってしまった。
おそらく休憩時間を見計らって、かけてきたに違いない。
「はぁ……」
葵はため息をつきながら、送られてきた住所を確認した。
ご丁寧にマップつきだ。地下鉄で二十分ほどの距離で、それほど時間はかからなさそうだ。
葵はまた足早に、都会の雑踏の中を歩き始めていた。