ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「言い訳、後悔……そうだな。葵の言うとおりだ」
葵の言葉を聞いて、蒼佑はかすかに目を細める。形のいい唇は自嘲するように歪んでいた。
「じゃあほかの形で、信じてほしい場合は……。こうなるとどうしたらいいのか、思いつかないが……」
蒼佑はまだあきらめないようだ。
葵とのつながりを得るために、必死に見える。
まさかここまでして、と思ったが、葵は最終手段に出ることにした。
「ーー私を愛しているなら、そこにひざまずいて。できないなら消えて。そしてもう二度と私の前に現れないで」
言い切った瞬間、心臓がバクバクと大きく鼓動していて、口から飛び出しそうだった。口の中はからからに乾いていて、よくぞ嚙まなかったと思ったくらいだ。
我ながら、とんでもない言葉を口にしてしまったと思いながら、視線を下げる。
(だけど……そんなこと、出来るはずがない)
天野蒼佑は、天下のHFの御曹司だ。幼いころからいずれ跡を継ぐ男子として、大事に大事に育てられた、人にかしずかれる立場の、現代の貴族のような男だ。
(さあ、早く。そんなことできるかって、怒って。早く私の前から消えて……!)