ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「葵」

 その瞬間、少し慌てたように蒼佑が葵の肩を抱き、支える。
 引き寄せられ、まるで抱き合うような形になり、

「――触らないで!」

 葵は慌てて、蒼佑の胸を突き飛ばし、後ずさっていた。

 突き飛ばされた蒼佑は、少し驚いたように目を見開いていたが、すぐにふっと力を抜いて柔らかい笑顔になった。

「触って、ごめん」
「――」
「でも、今のは……」
「わかってるわ。私のせいだって。でも、でもっ……本当にっ……」

 ぐうっと、熱い塊のようなものが喉の奥から込み上がってくる。
 泣きたくなるような、わーっと叫びたくなるような、いろんな感情が、ごちゃ混ぜになって、息が止まりそうになる。
 なぜ、こんな気持ちになるのか、自分でもわからない。
 この感情にどんな名前をつけていいかわからない。

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