ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「本当にありがとうございます。助かります」
「いえ。一応なっちゃんは高校生なんですから。私が言えば、向こうも引いてくださるでしょう」

 古い雰囲気のビルの中にあるスタジオは、全体がウッディーでスタイリッシュは雰囲気を醸し出していた。オブジェのように、椅子や本棚、観葉植物が並べられている。

 ふたりが撮影の邪魔にならないように並んで立っている、入り口のほうは薄暗いが、奥では煌々とライトが照らされていた。そして白いシャツを着たナツメの姿が見える。

 長袖のシャツの上には、栗色のカーディガンを羽織っている。
 椅子に腰をひっかけるようにして座り、手にペットボトルを持っていた。
 鍛えたすらりとしたしなやかな筋肉と、中世的できれいな顔、百七十八センチのバランスの良いスタイルは、抜群に絵になる。いわゆるフォトジェニックなタイプなのだろう。

(我が弟ながら、きれいだなぁ……)

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