私の声は君だけのもの
「身体は大丈夫?」
「はい…ありがとうございます」
「俺は椎名 優希
モデルをしていて世間ではシキって呼ばれてる
わかる?」
「すみません……わかんないです」
世間に疎い私は全く分からなかった
「良かった…… 君にはモデルとしての俺じゃなくて、椎名優希として接してほしいから
君の名前は?」
「名前は…無いです
両親にも捨てられてしまって……」
「なら俺が名前をつけて良い?
ちょっと待って………………カノン…夏音なんてどう?
夏に唄っている君と出会ったから椎名 夏音」
「椎名 夏音…」
その時なぜか涙が止まらなかった
そして今までの寂しさが消えていく気がした