その時は、ちゃんと
保健室の前で、先生と沙耶の話し声を聞いてしまったのは、予想外だった。

もちろんその内容も、だが。


思わず聞き耳をたてていた俺に先生が気づいて、逃げようと思ったけど隙間から見えた笑顔を見て、諦めた。


「あらあらモテ男さん、こんにちは」

「…ちす」

「ちょっとこっちいらっしゃい」

「…」


その後は根掘り葉掘り事情聴取された。


恋に飢えた女って怖ぇのな…


「それで、この後はどうするつもり?」

「…もう少し、このままでもいいかな、と」

「悪い男ねぇ」


口ではそう言いつつ嬉しそうな先生。
沙耶に変なこと言わなきゃいいけど。
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