その時は、ちゃんと
「失礼しまーす」

「あら沙耶ちゃん、久しぶり」

「お久しぶりですー、頭痛いのでベッド借ります」

「どうぞ」

今日はどうしたの?轟君がいないわね。と言いながら仕事に戻る先生。

そうか、保健室に来るときはいつも轟と一緒だったんだ。

「彼に迷惑かけてない?貴女すぐ怪我するんだから」

きっと先生は冗談のつもりで言ったんだろうけど、私にはグサッときた。

「迷惑かけてるかも、です」

「あら、どうしたの?」

「私、轟のことが好きで、えと、前に告白したんです。でも、緊張しすぎて嘘だって言ってしまって…それから練習だって言って毎日好きだと言ってます。少しでも意識してほしくて、友達の立場を利用しました。でも…」

人の告白の手伝いはするし、早く告白しろ、だなんて…

「全部、無駄でした。それどころか、嫌、だったのかも」

「そう…
……あら?」

「どうしました?」

「いえ、先生ちょ~っと用事できたから出ないといけないくて、その間留守の札立てておくから誰も来ないと思うけど…一応留守番頼んでもいいかしら?」

「はい」

じゃあごゆっくり。と言い残して機嫌よさげに出ていった。

…思ってたこと全部言ったらすっきりしたなぁ。後でアイス買って謝ろう。
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