私の化身
「あのとき、道路に飛び出した私を憎んでる?」
夕方の帰り道、いつもとは違う、長さの揃ってない影を踏みながら彼に聞いてみた。
「憎んでない、と言えば嘘になるかな……でも、自分の命を投げ打ってまで君を助けた、それがあの子だから……あの子のそういうところを好きになったんだ……」
彼の顔はオレンジ色に染まりよく見えない。
「そっか。実は私、死のうと思ったんだ……。色んなことから逃げたかったの」
「……うん」
彼と私の足取りは軽く、今までのしがらみがきえたようだ。
「せめてあの子の前で死んでやろうって、そうすればずっとあの子の重荷になるかなって……馬鹿だよね、あの子は全然悪くないのに」
彼は口を固くしたままずっと俯いている。