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一局を振り返って(あとがき)


マニアックな話にここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございます。
少しは将棋に興味を持っていただけたでしょうか?

この話は私の憧れと妄想でできておりますので、実在の棋士、団体、棋戦などには一切関係ございません。



【将棋用語について】
興味のない方に伺ったところ、私が思っている以上に将棋用語というのは浸透していないみたいですね。
でも今回は雰囲気重視でたくさん使いました。
作中で簡単に説明も入れましたが、わからなくても雰囲気だけ受け取ってもらえれば、と思います。


【参考資料について】
このプロ編入試験というのは、平成18年にできた制度でそれ以来この制度を利用してプロになられた方は今泉健司四段お一人です(平成29年11月現在)。

また、この制度ができるきっかけとなったのは瀬川晶司五段の嘆願書から始まった特例での編入試験でした。
(段位は平成29年11月のもの)

参考にできるものが現状ではこれしかないので、お二人の著作等を元にプロットを作りました。
ちなみに受験料は50万円だそうです!

この話はフィクションですが、上記のお二人のプロ入りの経緯は湊より遥かに大変でドラマチックです。
機会がありましたら著作などを御覧になってください。(瀬川五段の話については映画化予定)

また、作中で扱った「プロ編入試験」以外に「三段編入試験」「初段受験制度」もありますが、割愛しております。


【湊について】
将棋内容に関してはいくつかの対局を元にしつつ変えてあります。
また棋風や左利きの棋士に関しても複数の方を参考にしました。
が、キャラクターは当然オリジナルなので、モデルにした方には一切関係ございません。


【昇級・昇段規定について】
奨励会の規定の詳細は
6級から1級までの昇級詳細は
6連勝、もしくは9勝3敗(勝率0.750)、11勝4敗(勝率0.733)、13勝5敗(勝率0.722)、15勝6敗(勝率0.714)

初段から三段までの昇段は
8連勝、もしくは12勝4敗(勝率0.750)、14勝5敗(勝率0.737)、16勝6敗(勝率0.727)、18勝7敗(勝率0.720)
です。

いずれも7割以上の勝率が必要なため、そこだけ簡単に説明致しました。

プロの年間勝率で7割を越えるということは全棋士ランキングでも5位以内に入ります。
つまり奨励会において同じ級や段の中でトップクラスを取り続けるということで、ひとえに昇級と言ってもとっても厳しいです。


フリークラスからC級2組への昇級詳細は
①年度対局で、「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、且つ勝率6割以上
②良い所取り(つまり期間を設定しないという意味)で、30局以上の勝率が6割5分以上
③年度対局数が「(参加棋戦数+1)×3」局以上
④全棋士参加棋戦優勝、もしくはタイトル戦(朝日オープン将棋選手権を含む)挑戦
です。

③の対局数は勝つ以外に増やす方法はなく、状況によって変動しますが10棋戦に参加するなら33局必要なので作中では「30局程度」としました。
順位戦(必ず10局程度戦える)に出られないフリークラスではまず無理だそうです。
④は言うまでもなく難しい。
①もかなり厳しく、従ってフリークラスから昇級した人の多くは②に該当しているらしいです。
もちろん、それもとても難しいです。

あまりに規定が細かいため、本編ではかなり大まかに紹介致しました。



三段リーグを抜けて棋士になった方はC級2組からスタートしますが、数十人いる中で年間10戦して上位3人がC級1組に昇級します。
私も甘く見ていたのですが、10戦全勝しない限りは自力での昇級は無理という厳しさで、十数年昇級できないことも珍しくないそうです。

湊の未来はまだまだ厳しい状況が続きますが、棋士として苦労できるなら幸せに思っていることと思います。


架空の人物ですが、頑張り続ける湊を通して、実際に血を流す想いで指している棋士に目を向けていただければ嬉しいです。


アマチュア棋界を含む将棋界のますますの発展をお祈りいたします。



竜王戦が白熱している11月に
木下瞳子

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