gift
湊くんは“無害”という言葉が一番しっくりするくらい、意外にも不快感を与える人ではなかった。
打てば響く……わけではないけれど、仕事の覚えはよく、一度教えられたことは忘れない。
変化にもすぐに対応できる。
返事や反応は曖昧でも仕事はきっちりこなすし、処理能力は高いから、上司からも当然重宝される。
最初は私がフォローしてあげていたのに、半年後くらいには私より仕事をこなすようになっていた。
それを鼻にかけるでもなく、黙々淡々と仕事を進める態度が面白くなくて、イスの高さ調節のネジを緩めてしまうのは仕方のないことだ。
「うわっ!」
座ったはずの湊くんが視界から消えて、私は立ててあるファイルに顔を隠し、声も抑えて爆笑した。
さすがに怒ったのか、個包装されたいちごチョコレートが、「太れ!」という呪いの言葉とともに、頭に飛んでくる。
「痛っ! あれ? ありがとう! いただきまーす。湊くん、チョコレートなんて食べるの?」
コーヒーはブラックしか飲みません、という顔をしているから(実際は知らないけど)、甘いものを食べていることが意外だった。
「脳を使うと糖分が欲しくなるから」
「へー、それで記憶力いいのかな。私もチョコレートを常備しよう」
「今井さんは脳使ってない━━━━━うわっ!」
失礼なヤツはチョコレートの包み紙を投げつけられるもの、と古来から決まっている。
コントロール機能が搭載されていない私の腕では、湊くんに命中させられなかったけれど、床に落ちた包み紙を拾ってゴミ箱に入れてくれたから、それで許してあげることとした。
打てば響く……わけではないけれど、仕事の覚えはよく、一度教えられたことは忘れない。
変化にもすぐに対応できる。
返事や反応は曖昧でも仕事はきっちりこなすし、処理能力は高いから、上司からも当然重宝される。
最初は私がフォローしてあげていたのに、半年後くらいには私より仕事をこなすようになっていた。
それを鼻にかけるでもなく、黙々淡々と仕事を進める態度が面白くなくて、イスの高さ調節のネジを緩めてしまうのは仕方のないことだ。
「うわっ!」
座ったはずの湊くんが視界から消えて、私は立ててあるファイルに顔を隠し、声も抑えて爆笑した。
さすがに怒ったのか、個包装されたいちごチョコレートが、「太れ!」という呪いの言葉とともに、頭に飛んでくる。
「痛っ! あれ? ありがとう! いただきまーす。湊くん、チョコレートなんて食べるの?」
コーヒーはブラックしか飲みません、という顔をしているから(実際は知らないけど)、甘いものを食べていることが意外だった。
「脳を使うと糖分が欲しくなるから」
「へー、それで記憶力いいのかな。私もチョコレートを常備しよう」
「今井さんは脳使ってない━━━━━うわっ!」
失礼なヤツはチョコレートの包み紙を投げつけられるもの、と古来から決まっている。
コントロール機能が搭載されていない私の腕では、湊くんに命中させられなかったけれど、床に落ちた包み紙を拾ってゴミ箱に入れてくれたから、それで許してあげることとした。