【短】1%の可能性に想いを込めて
───私だけが知っている表情。
誰にも知られるわけにはいかない、夏輝くんの想い。
「…電話、お姉さんから?」
「ははっ、菅田はよく気付くな」
夏輝くんの乾いた笑いが教室内に響いた。
────夏輝くんの秘密。
…それは、彼が。
家族であるお姉さんを、愛してるということ。
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それを知ったキッカケは1枚の写真だった。
「わ、私ねっ…、夏輝くんのことずっと好きで…っ」
「…ごめん、菅田」
あの日、私は勇気を出してずっと好きだった夏輝くんに想いを告げた。
結果は予想通りの玉砕。
分かっていたはずなのに泣けてくる私に、夏輝くんは言ったんだ。
「好きな人がいる」って。