【短】1%の可能性に想いを込めて
夏輝くんのこんな顔、初めてみた。
愛おしそうに、けど切なそうな苦しそうな表情。
「引いた?」
「…へ?」
「姉貴が好きな弟、なんて」
にこりと笑う彼の意図は読めない。
けど、これだけは言える。
「好きな気持ちに引くも何もないよ」
少なくとも、悔しいけど、夏輝くんのその気持ちは綺麗だと思った。
お姉さんが羨ましいと思った。
「…変わってるね、菅田って」
「夏輝くんのこと好きだから」
「ははっ、それ理由になってなくない?」
───…それからだ。
夏輝くんと、今まで以上によく話すようになったのは。