愛されたかった、好きだった。






話しのテンポが独特で、話してても引きずられていて主導権がどうにも握りづらい。


彼のゴールデンブラウンの髪はさらさらと私の疲れなど知らぬかのように気持ちよさそうにそよいでいる。



こんなに人と話したのはいつぶりだろうか。

言葉のキャッチボールなどここ最近していなかった気がする。



女子からは憎まれ嫌われているし、男子は面倒だから話す気にもならないし話すこともなかった。



「秋斗〜捕獲!!」


後ろからばぁっと木下くんに抱きついたのは、ピアスをじゃらりとつけ右は黒と左は白の髪色をした美少女だった。



「綾乃(あやの)くっつくな。
それでなんだよ」


「はいはい、僕も男に抱きつく趣味ないんだよねぇ〜。

てか〜、仁太が呼んでたから迎えに来ただけじゃん」


木下くんが立ち上がると共に、綾乃と呼ばれた……男の子も立ち上がる。


制服がズボンだったら男だよね…?


まじまじとズボンを見ていた私に気づいたのか、はぁっと今にも溜め息をつきそうなくらい呆れられた瞳で見つめられる。



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