愛されたかった、好きだった。
「わかった」
別に付き合うと言っても、何をするわけでもないのだからそれなら彼の申し出を受けていじめをやめさせてくれるならそれに越したことはないだろうと、了承する。
「ふ〜ん、後悔しないでよ濡れ子サン」
「いくら女が嫌いだからって脅すなよ綾乃、よろしくな紘」
「あんまり、よろしくするつもりはないけどね」
お互いがお互いを利用する、それに心を傷める理由はあるのだろうか。
これが後に、
孤独を知っている少女を、
猫かぶりの少年を、
寂しさ飢える少年を、
人を信じることができない少年を、
愛する人を失った少年を、
苦しみに耐える少年を、
感情を恐れる少年を、
忌々しいと言われる少女を
繋ぐ始まりの一つにすぎなかった。