愛されたかった、好きだった。





『今からそっちに帰る、この国の空気感が暑苦しくて気持ち悪いから』



「何それ、彼氏は〜?」



『束縛なんてしようとするから振った』



「リンリンは強いね、僕は束縛しないよ」



そんなの彼女には関係ないのに何を言っているだ、自分は。

取り消そう、早く他の言葉を…



『“綾乃”ごめんね』



こういう事になってしまうから。

答えが分かってて、彼女を困らせると分かっていたのにあんな事をいうなんてなんて醜いのだろう。



「大丈夫だよ。

猫かぶりの王様はすぐリンリンの元へ帰ってくる」



そうじゃなければ壊れてしまう。
心をなくして、笑顔が消えて、彼女ただの操り人形になる。



『そうだといいけど…。
じゃあ今から空港に行くから切るね』



「うん、バイバイ」


ツーツーツーと電話が切れる音がして、耳からスマホを離す。




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