愛されたかった、好きだった。



「なー、秋斗」



生活感がある、旧校舎の一室にやけに仁太くんの声が響く。


本当に何で生活感あるんだ。

他の部屋は薄汚いのに、ここだけが異常に綺麗。


ソファーとか、テーブルとかその他家具も置かれている。


「何?」


「綾乃と忍くんと、麗央くん、それに零(ぜろ)が逃げちゃったけど」



「まぁ鈴音がいないとあいつらは自由人だしほっといて大丈夫だろ」



「俺も鈴音信者だからね?」



「俺もだけどな」



鈴音さんとはどうやら、この不良校の木下くんが率いるトップグループの副リーダーで、現在彼氏と旅行中らしい。


また、木下くんのお父さんが有名な人らしく世間の目などもあるから猫を被って出来のいい子に見せていたりしている、という話などを聞いたりした。



「ごめんね、紘ちゃん。

あいつら自由気ままでさ人と関わるのがあんまり好きじゃないような奴らなんだ」



「別にどうでもいいです」



まぁこんな話を聞いたところで私は彼らに興味はない。



「もう帰ってもいいですか?」



ちらほらと楽しそうに帰宅している生徒を窓から眺めながる。

いつの間にか、放課後になって居たようだ。



「ムリに決まってんだろ。

今から、この学園の男子がほぼ全員所属してる暴走族の溜まり場に行く」



「いや、私行く意味ないですよね」


「俺の女だから来い」



いや、偽物なのに何で行かなきゃいけないんだ。

さも、当然だろ?みたいなドヤ顔されても私はただ平凡に学園生活を送りたいだけなのに。



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