愛されたかった、好きだった。




「偽物ですけどね」


「え?偽物なの?

聞いてないよ、秋斗」



「あー、言ってなかったな」



いや、言っとけよ。
絶対大事でしょ、お互いに利益があるから付き合ってるふりしてるんだし。


よくこんな適当な奴と一緒にいられるな。



「適当なのは良くないよ。

忍くん以外俺にどこで何するかとか言ってくれないし、面倒事全部俺に投げやりだし」



「別にそれくらいいいだろ」



「よくないから」




2人の言い争いは決着が着くことなどないのだろうか、約20分くらいはこの調子だ。


この隙にでも帰ってしまおうか、とドアノブに手をかけるとがっしり両肩を掴まれてしまう。



「紘ちゃんには今から俺たちの溜まり場に来てもらうから帰らせないよ」



溜まり場って…

あの、ガンとか飛ばしてくるガラの悪そうな人達が密集してるようなとこってことでしょ?



「絶対嫌なんだけど」



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