愛されたかった、好きだった。

「紘ちゃん、残念だけど拒否権ないんだ。


俺も本当は紘ちゃんを危ない人達がいるところに行かせたくないんだけどね…危ないし。


でも大丈夫、絶対俺らが守るからさ」



仁太くんが言い終わるより先に、木下くんは私をお姫様抱っこする。



「いや、まてまて。

うんほんとにおろして！！
歩く、自分で歩けるからまってほんとに怖いから！！」



軽々と旧校舎を出て教室にと移動しているようだ。

荷物でも取りに行くんだろうけど、どうして私のクラスなのだろうか。


この嫌な予感が当たらないことを祈る他ないだろう。



「離したらどっか行くだろ」


「行かないから！」


私の悲痛な叫びを聞いて、ケタケタと笑い始める始末だ。


「紘ちゃんってA組なんだね」


「俺と同じクラスだったんだな」


あー、もう何でやっぱり同じクラスなんだ。


これならまだ、いじめられていた方がそっとしておいてもらえたのではないだろうか。