愛されたかった、好きだった。
「お前死ねば?」
くすくすと不気味に笑う声がよく響き、這いつくばる私を嘲笑うかのようにトイレを後にする。
残された私はただポタポタと髪から落ちる水滴を眺めていた。
これで何度目だろうか。
ズタボロに破かれ、切り裂かれ水が染み込んだジャージを拾い上げるのは、
全身濡れて、家に帰ったら洗濯とお風呂に入らねばと思うのは。
立ち上がろうとすると痛む足をなんとか踏ん張らせながら、とりあえず保健室を目指す。
あそこならジャージの予備やタオルくらい置いてあるだろう。
始業式には出れそうもないな。
体育館を目指す生徒の波に逆らいながらも必死に足を進める。
普通ならばこんな“異様”な人物に何かしら反応を見せるだろうが、これがこの学校の中での“普通”という認識だ。
誰も気に留めることなく、ましてや私と目も合わそうとしない。
きっと私がこうなるのは定めであって、抗うことは許されない。
まぁこんなの慣れたものだ。
私は罪を背負って生きていかなくてはいけなくて、勝手に死のうとすることも出来ない。