愛されたかった、好きだった。
「影架ちゃんって言うの?
鈴音ちゃんと言ってたんだけど、影架ちゃんも一緒にお茶しない?」
居たたまれなくなった二人組のうちの1人はそう言って影架に笑いかけた。
私は行かないって言ったはずなんだけど。
さすがにこれ以上こいつらと話してる時間が無駄に覚えてきた。
「スズネ、どうシマスか?」
「追い払って」
「了解シタ」
影架は二人組の胸倉を同時に掴み、椅子から立ち上がらせ、床へと放り投げる。
「お前タチ、今消えるか死ヌのどっちがイイデスか?」
「「す、すいませんでしたー!」」
影架の殺気を感じ取った男達は逃げ足で去って行った。
「アレくらいの殺気で逃ゲル男は玉付いてナイネ」
「それは言い過ぎだぞ、影」
「ジュンは甘すぎルネ。
そんなんダカラ、ゼロはあんな男に育ったネ、ジュンの責任ダヨ」
「影架そこまで。
潤、車出してくれる?」
「ああ」
潤は私の荷物を持つと、その後影架を見ることなくその場を去って行った。
影架と、潤は私の付き人のようなものだが、どうも2人は方向性の違いからよく揉める。
「影架、あなたはどうするの?」
「ワタシはヤルコトがあるからニューヨークに行ってくる」
「わかった、じゃあ行ってらっしゃい」
「行ってくるネ」
彼女は手ぶらのまま、スタスタと歩いて行ってしまった。