愛されたかった、好きだった。
前を通るにしても、変に餌食にされる可能性だってあるし、あの人の声で私が教室にいないということがバレても厄介だ。
男だから、水をかけられるとかはないだろうけど変に話しかけられる可能性がある。
話かけられても、スルーしたら良いか。
そこで何かしら言われて口論になって先生達が来たとしても連れてこられただの言えばいい。
「進級できたのが奇跡ってくらいサボったんだから、初日くらいはさすがに来いよ」
彼に近づけば近づくほど声が大きくなる。
大丈夫、素通りすれば問題ない。大丈夫。 私に彼は見えていない。
一歩また一歩と確実に距離は近くなっている。
「まずなー、最悪でも日本くらいにはいろよ」
「鈴音がいないと俺の周り煩いんだよ、いいから帰って…」
電話に向かって怒っていた男の子は私が近くにいることに気づいたのか歩いている私の姿をまじまじと見ている。