手に入らないもの


会った時から


弘海が大好きで

アイツのギュッが

アイツの声が

アイツの背中が

アイツの笑顔が

アイツの優しさが


全部全部


どうしようもないくらい



好きなのに。





「……回復しました。でもまだ意識が戻らないです。」

……早く目を覚まして?

後1回だけでいいから。


私に最高の笑顔を見せて……




「美亜ちゃん…?」


「乙葉さん.......」


「私の彼氏を助けてくれてありがとう。でももう大丈夫よ、家に帰りなさい?」


……ねぇ、乙葉さん。

知ってる?

弘海はガンバってるってこと。

きっと知らないでしょうね。



もう、解放してあげてよ。


弘海だって、真実の愛とか見つけたいはずだよ……






もちろん、声には出せなかった。



でも心の中でずっと呟いていた。
< 60 / 68 >

この作品をシェア

pagetop