手に入らないもの
会った時から
弘海が大好きで
アイツのギュッが
アイツの声が
アイツの背中が
アイツの笑顔が
アイツの優しさが
全部全部
どうしようもないくらい
好きなのに。
「……回復しました。でもまだ意識が戻らないです。」
……早く目を覚まして?
後1回だけでいいから。
私に最高の笑顔を見せて……
「美亜ちゃん…?」
「乙葉さん.......」
「私の彼氏を助けてくれてありがとう。でももう大丈夫よ、家に帰りなさい?」
……ねぇ、乙葉さん。
知ってる?
弘海はガンバってるってこと。
きっと知らないでしょうね。
もう、解放してあげてよ。
弘海だって、真実の愛とか見つけたいはずだよ……
もちろん、声には出せなかった。
でも心の中でずっと呟いていた。