生き続ける意味 **番外編**
あたしは、ゆっくりと亮樹兄ちゃんの肩に手をまわし、ぎゅっと…抱きついた。
「ひっく……んっ……」
涙がポロポロ止まらなくて、ぎゅって、強く抱きついた。
そんなあたしの頭を、優しくなでてくれる亮樹兄ちゃん。
「桜……無理しなくていいから。無理して慣れようとか、気を使わなくていいから。
桜が人見知りなのも、慣れるのに時間がかかるのも、わかってるから。
…ゆっくりでいいよ。だから、ちゃんと不安なことや疑問に思っちゃうことも、聞きな?
だーいじょうぶ。ゆっくりでいいからな?
俺たちは家族だろ?」
あたしは、震えながらうなずいた。
家族……初めて、言われたんじゃないだろうか。
家族って言葉が、こんなにあたしの心を救ってくれるなんて…初めてわかった。
「うんっ…!」
それからは、徐々にだけど、亮樹兄ちゃんとの距離が縮まって…。
反抗したりすることは、なくなったんだけどね。
あたしが初めて病気になるのは、もうちょっと後のお話…かな。