生き続ける意味 **番外編**
* 別れ=新たな出会い
もうすっかり暗くなった廊下を、ダンダンと足を鳴らしながら歩いた。
冷えて、寒いけどそんなの関係なかった。
…なんなの。亮樹兄ちゃんは。
あんなに言わなくたって…。
あたしは、不安だってあったんだよ?前も定期検診で再発がわかったんだから。
今回も怖かった…のに。
なんで不安をあおるようなこと言うの?
しかもっ!なんで、『異常があったら検査入院ね』とか、平然な顔して言えるの!?
あたしは、今回の治療のことがあって、それだけは心臓が…心臓がはち切れるほど怖かったのに。
…なんで、平然としてるの?
亮樹兄ちゃん、あたしのこと心配じゃないのかな…。
もう治ったから、肩の荷がおりたーとか言って、あたしのことべつに気にしなくなったのかな。
「あーっ、もう。」
なんだかムシャクシャする胸を沈めて、息を吐いた。
いいもんね、このまま一人で帰ってやる。
そう病院を出ようとしたら。
「桜ちゃん、桜ちゃん!」
どこかなつかしい明るい声が聞こえてきた。